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イピリムマブ、ニボルマブによる下垂体出血、下垂体機能低下症、続発性副腎機能不全

2023年8月掲載

薬剤 イピリムマブ腫瘍用薬
ニボルマブ腫瘍用薬
副作用 下垂体出血、下垂体機能低下症、続発性副腎機能不全
概要 57歳、男性。咳嗽を契機に左下葉肺腺癌と診断。CBDCA+PEM+Ipilimumab+ Nivolumabを導入したところクレアチニン増加を認め、以降は免疫チェックポイント阻害薬のみ継続とした。4クール継続後に発熱、食欲不振、全身倦怠感、体動困難などの症状が出現し救急搬送となった。感染症や副腎不全、甲状腺クリーゼ、重症筋無力症などの免疫関連副作用(irAE)を疑い、抗菌薬治療を開始しつつ自己抗体の測定や内分泌負荷試験を行った。血圧低下を認めたため負荷試験後、副腎機能不全を疑い速やかにヒドロコルチゾンの補充を開始したところ各種所見の改善を認めた。ACTH低下を認めたため下垂体MRIを実施したところ下垂体出血を認めた。下垂体出血による下垂体機能低下症に伴う続発性副腎機能不全と診断した。

監修者コメント

肺癌に対して投与した免疫チェックポイント阻害薬による下垂体出血から続発性副腎機能不全を来した1例である。免疫チェックポイント阻害薬によるirAEとして下垂体炎はよく知られているが、本症例のような下垂体出血は稀である。免疫チェックポイント阻害薬の投与中は、稀ではあるが下垂体出血による下垂体機能低下症が生じる可能性があることを念頭におく必要がある。

著者(発表者)
大林昌平ほか
所属施設名
伊勢原協同病院ほか
表題(演題)
肺癌に対して免疫チェックポイント阻害薬使用中に下垂体出血による続発性副腎機能不全をきたした一例
雑誌名(学会名)
第63回日本呼吸器学会学術講演会(抄録集) PP359 (2023)
第63回 日本呼吸器学会学術講演会(2023.4.28-30)

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