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セレコキシブによる薬剤性過敏症症候群

2014年3月掲載

薬剤 セレコキシブ中枢神経用薬
副作用 薬剤性過敏症症候群(DIHS)
概要 79歳、男性。初診4週間前から腰痛に対してセレコキシブ内服開始となった。10日前からほぼ全身に紅斑と38℃台の発熱が出現し、前医を受診したが悪化したため当科紹介受診となった。顔面は浮腫状を呈し、瘙痒を伴う紅斑が融合し、紅斑局面を形成し、ほぼ全身に拡大していた。下肢では紫斑を呈する部位も認めた。なお、頸部・鼠径部の表在性リンパ節を触知したが、肝・脾の腫大は認めなかった。口唇は腫脹していたが、明らかな粘膜疹は認めなかった。HHV-6 IgGは発症2週目で40倍、4週後には640倍、6週後には1,280倍に上昇しており、再活性化と考えた。入院後、セレコキシブを除く薬剤は継続し、ステロイドを投与し、一時紅斑の再燃を認めたが、3ヵ月後に略治となった。

監修者コメント

薬剤性過敏症症候群(DIHS)は比較的限られた薬剤により発症する重症薬疹であり、遅発性の発疹、発疹の遷延化に加えて発熱、肝機能障害、白血球増多、異型リンパ球出現、好酸球増多などを認める。セレコキシブ(セレコックス®)は選択的COX-2阻害薬として、従来のNSAIDsと同等の抗炎症作用を有しながらも、副作用の少ない薬剤とされている。セレコキシブによる薬疹の報告例はこれまでに散見されるが、セレコキシブによるDIHSは極めて稀である。DIHSをきたすことが多い薬剤として抗てんかん薬や高尿酸血症治療薬、抗不整脈薬などが報告されているが、セレコキシブにてもDIHSは起こり得るため、本剤投与中に紅斑、発熱、肝機能障害などを認めた場合にはDIHSの可能性を考慮する必要がある。

著者(発表者)
若松研弥ほか
所属施設名
山口大学大学院医学系研究科皮膚科学分野
表題(演題)
薬剤性過敏症症候群(DIHS)
雑誌名(学会名)
皮膚病診療 35(12) 1153-1156 (2013.12) 

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