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デュルバルマブによる再生不良性貧血

2023年3月掲載

薬剤 デュルバルマブ腫瘍用薬
副作用 再生不良性貧血
概要 74 歳、女性。2021年X月より右下葉扁平上皮癌に対して化学放射線療法(カルボプラチン、パクリタキセル)を施行。重篤な有害事象は認めず同年X+2月よりデュルバルマブによる地固め療法を開始。3コース目のデュルバルマブ投与後に放射線肺臓炎を発症したため、以後のデュルバルマブを中止しステロイド治療を開始。約1ヵ月間のステロイド治療により放射線肺臓炎は小康状態となったが、汎血球減少が出現。輸血、G-CSF投与を開始したが改善乏しく、骨髄生検を施行したところ著明な低形成骨髄を認め、再生不良性貧血と診断。ステロイド、G-CSF、輸血を継続したところ血球は徐々に回復し、外来治療可能となった。

監修者コメント

抗PD-L1モノクローナル抗体であるデュルバルマブは、免疫チェックポイント阻害薬として肺癌などの治療に用いられている。本症例は肺癌に対する化学放射線治療後のデュルバルマブ地固め療法中に再生不良性貧血を合併した1例である。本剤による再生不良性貧血の報告はこれまでにないが、重篤な免疫関連有害事象として念頭におく必要がある。本薬剤の投与中に汎血球減少などを認めた場合には、血液内科とも連携して適切な処置を行うことが重要である。

著者(発表者)
毛利謙吾ほか
所属施設名
国立病院機構岩国医療センター
表題(演題)
肺癌に対する化学放射線治療後デュルバルマブ地固め療法中に再生不良性貧血を合併した一例
雑誌名(学会名)
第66回日本呼吸器学会中国・四国地方会/第60回日本肺癌学会中国・四国支部学術集会プログラム・抄録集 HT-12 (2022)
第66回 日本呼吸器学会中国・四国地方会 第60回 日本肺癌学会中国・四国支部学術集会(2022.7.9-10)

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