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セフメタゾールによる尿細管間質性腎炎

2023年3月掲載

薬剤 セフメタゾール抗生物質製剤
副作用 尿細管間質性腎炎
概要 60歳代、男性。X‐20年に高血圧、X‐12年に糖尿病を指摘され、Cr0.9mg/dL前後で経過していた。X年に当院外科で横行結腸癌・胆石に対し腹腔鏡下結腸切除術・胆囊摘出術を施行され、周術期に感染予防のためセフメタゾール(CMZ)が3日間投与された。十分量の輸液にもかかわらず、術後は尿量360‐490mL/日、術後3日目にはCr3.85mg/dLと進行性の腎機能障害を認めた。CTでは両腎の腫大、ガリウムシンチグラフィで両腎に集積を認め、尿中β2‐MGは4670μg/L と上昇していた。腎生検では、尿細管間質にリンパ球、好酸球を主体とする炎症細胞浸潤を認め、薬剤リンパ球刺激試験でCMZが陽性であった。以上から、CMZによる尿細管間質性腎炎と判断した。CMZ中止後であったが、術後11 日目にもCr1.64mg/dLと腎機能障害が遷延していたため、プレドニゾロンを開始した。術後4 週間で術前と同程度まで腎機能障害は改善した。

監修者コメント

周術期に予防投与したCMZにより尿細管間質性腎炎を発症した1例である。セフェム系抗菌薬が間質性腎炎の原因となることは良く知られているが、本症例のような周術期予防投与またはCMZによる報告は稀である。周術期には様々な要因で腎機能障害をきたすが、薬剤性尿細管間質性腎炎はステロイド治療の適応となるため、適切な診断を行うことが重要である。

著者(発表者)
川嶋萌ほか
所属施設名
東京労災病院腎代謝内科ほか
表題(演題)
周術期セフメタゾール予防投与による尿細管間質性腎炎が疑われた一例
雑誌名(学会名)
The Japanese Journal of Nephrology : 日本腎臓学会誌 64(6-E) 597 (2022)
第52回 日本腎臓学会東部学術大会(2022.10.22-23)

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