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乾燥BCG膀胱内用(コンノート株)による播種性BCG感染症

2014年3月掲載

薬剤 BCG生物学的製剤
乾燥BCG膀胱内用(コンノート株)生物学的製剤
副作用 播種性BCG感染症
概要 71歳、男性。糖尿病に対して内服治療を開始するも自己中断していた。肉眼的血尿を契機に表在性膀胱がんと診断され、経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行。術後経過良好にて乾燥BCG膀胱内注入療法を開始した。3クール終了後より発熱、全身倦怠感を認めた。その後、肝機能障害、胸部CTで両肺野の粒状影を認めたことより、肝生検、経気管支肺生検を施行した。肝、肺ともに類上皮細胞肉芽腫が証明され、播種性BCG感染症を疑いINH、RFP、EBによる抗結核療法を開始した。血糖コントロールは良好であり、緩徐に解熱傾向、肝機能障害は消褪し、その後退院となった。

監修者コメント

成人におけるBCG膀胱内注入療法は表在性膀胱がん・膀胱上皮内がんに対するコンセンサスの得られた治療法であるが、稀に播種性BCG感染症を発症し重篤な経過に至る症例がある。本症例では表在性膀胱がんに対するTUR-BT施行後の再発予防目的でBCG膀胱内注入を開始したところ、播種性BCG感染症によって肉芽腫性肝炎・粟粒結核を発症した。糖尿病による易感染状態が関与した可能性もあるが、直接的な要因は膀胱内粘膜損傷からのBCGの血行性散布であると考えられる。BCGは牛型結核菌を弱毒化した生菌製剤であり、膀胱内注入療法を行う際、稀ではあるが播種性BCG感染症を発症する可能性があることに注意する必要がある。

著者(発表者)
荒木亘ほか
所属施設名
日高会日高病院 糖尿病・内分泌内科ほか
表題(演題)
膀胱がん治療中に播種性BCG感染症発症が疑われ、肉芽腫性肝炎、粟粒結核のため抗結核療法を要した2型糖尿病の1例
雑誌名(学会名)
プラクティス 31(1) 114-119 (2014.1)
第586回 日本内科学会関東地方会

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