アモキシシリン水和物による薬剤過敏症症候群
2022年10月掲載
薬剤 | アモキシシリン水和物抗生物質製剤 |
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副作用 | 薬剤過敏症症候群 |
概要 | 44歳、女性。梅毒の診断でアモキシシリン水和物(以下アモキシシリン)の内服を開始した。3週間後に発熱、全身に紅斑が出現し、当院を紹介受診。初診時、38.5℃の発熱、紅皮症と全身の浮腫、頸部リンパ節腫脹を認めた。血液検査上、肝機能障害、白血球著増(好酸球19.2%、異型リンパ球16%)が確認され、薬疹と診断し、プレドニゾロンの内服を開始した。病理組織像では、表皮真皮境界部に液状変性、表皮ケラチノサイトの個細胞壊死、真皮浅層では血管周囲性のリンパ球・組織球浸潤がみられ、好酸球浸潤は少数であった。HHV6の再活性化も認め、薬剤過敏症症候群(DIHS)と診断した。治療開始後、皮疹、炎症反応とも改善した。プレドニゾロンは漸減し、以後症状の再燃はみられていない。 |
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DIHSとは、抗てんかん薬などの薬剤によって発症し、発熱や多臓器障害を伴う重症型薬疹の1つである。遅発性に発症し、皮疹は紅斑丘疹型に始まって紅皮症となることが多い。皮疹だけでなく、リンパ節腫脹、発熱、異型リンパ球の出現、好酸球増多、肝障害、腎障害などの症状を認め、原因薬剤中止後もしばしば皮疹や臓器障害が遷延する。また、体内に潜伏しているヘルペスウイルスHHV6の再活性化を生じることが特徴である。本症例は、アモキシシリンによってDIHSを発症した稀な1例である。本薬剤は日常診療において頻繁に使用されている抗生剤であるが、DIHSを発症する可能性があることに注意すべきである。
- 著者(発表者)
- 寄田理紗ほか
- 所属施設名
- 東京慈恵会医科大学葛飾医療センター皮膚科
- 表題(演題)
- サワシリンが被疑薬として考えられた薬剤過敏症症候群の1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本皮膚科学会雑誌 132(5) 1334 (2022)
第121回 日本皮膚科学会総会(2022.6.2-5)
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