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メサラジンによる無顆粒球症、発熱性好中球減少症

2022年5月掲載

薬剤 メサラジン消化器官用薬
副作用 無顆粒球症、発熱性好中球減少症
概要 53歳、女性。潰瘍性大腸炎に対し、メサラジン腸溶錠が開始された。内服開始後半年の間に腹痛が見られるようになり、当院紹介となった。炎症の部位より、メサラジン腸溶錠からメサラジン徐放剤へ変更した。変更後2週間目の朝方から咽頭痛を自覚し、翌日には38℃の発熱があり近医を受診した。血液検査で好中球減少とCRP上昇を認め、当院紹介となった。血液検査で白血球400/μL(リンパ球97%、単球3%)、CRP 21mg/dL、頚部リンパ節腫脹も認め、無顆粒球症および発熱性好中球減少症と診断し緊急入院とした。
入院後、メロペネム、フィルグラスチムを開始した。第8病日で好中球8555/μLまで上昇し解熱したため、治療を終了した。第12病日には咽頭痛も改善した。無顆粒球症の原因は経過より薬剤性を疑い、メサラジン徐放剤以外の薬剤がないことから同薬剤を疑い中止した。経過中腹部症状の悪化はなかったため、潰瘍性大腸炎は外来で無治療経過観察中である。

監修者コメント

メサラジンは、潰瘍性大腸炎やクローン病の治療薬として用いられている。本症例は、メサラジン腸溶錠から徐放剤に変更した後に無顆粒球症を発症した稀な1例である。添付文書にも重大な副作用として無顆粒球症が記載されており、投与時は定期的な血液検査を行うべきである。

著者(発表者)
梶田航平ほか
所属施設名
帝京大学内科
表題(演題)
潰瘍性大腸炎に対するメサラジン徐放剤投与で無顆粒球症を起こした1例
雑誌名(学会名)
第673回 日本内科学会関東地方会 34 (2021)
第673回 日本内科学会関東地方会(2021.11.14)

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