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ミロガバリンによる肺障害

2022年4月掲載

薬剤 ミロガバリン中枢神経用薬
副作用 肺障害
概要 61歳、男性。8ヵ月前に大細胞肺癌に対して左上葉切除術を行い、術後化学療法のCDDP+VNR療法(4コース)が4ヵ月前に終了し経過観察されていた。1ヵ月前より末梢神経障害に対するミロガバリンが開始となったが、その頃より嘔気を自覚するようになっていた。呼吸器外科の予定外来で実施した胸部単純X線にて左下肺野の浸潤影を認め、当科に入院となった。
発熱や喀痰の増加はなく、炎症反応の上昇もなかったが、KL-6が979 U/mLと増加していた。胸部CTでは非区域性分布を示すconsolidationを認め器質化肺炎(OP)パターンと考えた。気管支肺胞洗浄では、細胞濃度(7.0×105/mL)、リンパ球(19%)、好酸球(9%)の上昇が見られた。ミロガバリンによる薬剤性肺障害と判断し同剤の中止と、プレドニゾロンにて治療を開始したところ速やかに症状、画像ともに改善した。

監修者コメント

ミロガバリンは新規の末梢性神経障害性疼痛に対する治療薬であり、プレガバリンと同様に、シナプス前終末においてカルシウムイオンの流入を減少させ、興奮性神経伝達物質の放出を抑制することで痛みを緩和させることが示唆されている。副作用としては、めまい、傾眠、意識消失、体重増加などが報告されているが、本症例のような薬剤性肺障害は稀である。今後も本薬剤の使用頻度は増加することが予想され、薬剤性肺障害の発症に注意すべきである。

著者(発表者)
又野護ほか
所属施設名
長崎大学病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
ミロガバリンによる薬剤性肺障害の1例
雑誌名(学会名)
第87回 日本呼吸器学会・日本結核 非結核性抗酸菌症学会・日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会九州支部秋季学術講演会 プログラム・抄録集(Web) 023 (2021)
第87回 日本呼吸器学会・日本結核 非結核性抗酸菌症学会・日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会九州支部秋季学術講演会(2021.10.22-23)

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