プロポフォールによるアレルギー、アナフィラキシー
2022年1月掲載
薬剤 | プロポフォール中枢神経用薬 |
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副作用 | アレルギー、アナフィラキシー |
概要 | 54歳、女性。他院で甲状腺腫瘍手術の際、アレルギー反応の既往があった。提供された診療情報では、プロポフォール、レミフェンタニル、フェンタニルで麻酔導入後に換気困難となり、ロクロニウム投与後に気管内挿管したが、気道内圧上昇、気管支狭窄音を認め、収縮期血圧が40-50mmHgと低下したとのことであった。今回、子宮体癌に対する腹腔鏡下子宮全摘術が予定された。術前に当院皮膚科で前回被疑薬や局所麻酔薬を含めた複数の麻酔薬に対するプリックテスト、皮内テストを施行したが全て陰性であった。 プロポフォール、レミフェンタニル、フェンタニル、ロクロニウムで麻酔導入、気管挿管したところ、両前腕、側腹部から下腿まで拡大する発赤が出現した。収縮期血圧、経皮的酸素飽和度ともに低下した。麻酔薬アレルギーと判断し、脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔下での開腹手術に切り替えた上で手術した。諸検査を行ったところ、プロポフォールのみが皮内テストおよび好塩基球活性化試験で陽性であったことから、プロポフォールアレルギーによるアナフィラキシーと判断した。 |
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他院での全身麻酔の際にアレルギー反応を呈したが、当院の術前検査では原因薬剤が特定されず、術後にプロポフォールによるアナフィラキシーと診断された稀な1例である。本薬剤の添付文書にも重大な副作用としてアナフィラキシーが記載されており、使用時には慎重な経過観察が必要である。
- 著者(発表者)
- 藤野遥香ほか
- 所属施設名
- 大阪大学医学部附属病院脳神経精神科診療部門麻酔科
- 表題(演題)
- 被疑薬診断に難渋し、術後に特殊検査でプロポフォールアレルギーと確定診断された患者に対する麻酔経験
- 雑誌名(学会名)
- 日本麻酔科学会 第67回 関西支部学術集会 プログラム・抄録集(Web) P10-09-67 (2021)
第67回 日本麻酔科学会関西支部学術集会(2021.9.4-10.4)
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