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セクキヌマブによる喘息悪化

2021年12月掲載

薬剤 セクキヌマブその他の代謝性医薬品
副作用 喘息悪化
概要 70代、女性。気管支喘息あり。初診の3年前、臀部に皮疹が出現し、全身に拡大。strongestのステロイド外用剤で消退せず当院紹介となった。乾癬と診断されシクロスポリンを使用したが血圧が上昇し中止した。セクキヌマブを開始し、1週間後には皮疹はほぼ消退し、そう痒も消失した。しかし、喘息が悪化したため、2回目の投与は延期した。本人の希望もあり、2週間後と3週間後に再度投与したところ、それぞれ投与1週間後に喘息発作が起きた。これまで喘息発作の頻度は月1回程度であったので、セクキヌマブの影響を考え投与を中止した。その後、喘息の咳が止まらず、2週間に6回ステロイドが投与された。乾癬の皮疹はしばらく落ち着いていたが、中止の8ヵ月後に再燃し、そう痒も増強したため、1年後にウステキヌマブを開始した。2週間で皮疹は消退し、そう痒も消失した。喘息発作の増加はなく、皮疹も出ず、投与間隔を延ばして3年継続した。その後、グゼルクマブに変更したが喘息の悪化はない。

監修者コメント

ヒト型抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤であるセクキヌマブは、難治性の乾癬などの治療に用いられている。IL-17は乾癬の免疫反応に深く関与する炎症性サイトカインの1つである。乾癬に生物製剤を使用し、アトピー性皮膚炎様皮疹が出現した報告はあるが、本症例のように喘息の悪化を認めた報告は稀である。IL-17阻害薬で増悪し、IL-23阻害薬では増悪しなかった点については、IL-23非依存性のIL-17が存在する可能性があり、興味深い1例といえる。

著者(発表者)
十一英子ほか
所属施設名
京都医療センター
表題(演題)
IL-17阻害薬が乾癬には著効したが喘息が悪化した1例
雑誌名(学会名)
第36回 日本乾癬学会学術大会 プログラム・抄録集 136 (2021)
第36回 日本乾癬学会学術大会(2021.9.3-4)

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