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ボノプラザンによる低Ca血症

2021年10月掲載

薬剤 ボノプラザン消化器官用薬
副作用 低Ca血症
概要 69歳、男性。50歳より血液透析中。40歳、49歳に胃潰瘍。60歳時に二次性副甲状腺機能亢進症のため副甲状腺全摘。右前腕自家移植施行。内頚動脈狭窄症のためバイアスピリンとファモチジンを内服。68歳時に胃潰瘍からの出血により心肺停止し長期入院した。経過中、PPIによる汎血球減少疑われ、アルギン酸Na液、レバミピドによる胃潰瘍再発予防がされていた。退院後、バイアスピリン再開に伴い、胃潰瘍再発予防にボノプラザン10mg開始したところ、開始前補正Ca9.9mg/dLから翌月補正Ca7.5mg/dLと急激に低下し、手のしびれが出現した。沈降炭酸Ca増量、食前投与へ変更、アルファカルシドール追加にて緩徐に改善が得られた。

監修者コメント

カリウムイオン競合型アシッドブロッカーであるボノプラザンは、従来のプロトンポンプ阻害薬(PPI)に比べ、効果の発現が早く、持続時間が長いことが特徴である。また、CYP2C19遺伝多型による影響をほとんど受けないことから、消化性潰瘍、逆流性食道炎などの治療やH. pylori除菌治療において優れた有効性を認めている。本文献では、ボノプラザン投与後に急激に低Ca血症を来した稀な1例を報告している。胃内pH上昇に伴うCa吸収障害が原因と推測されている。本薬剤の投与中にしびれなどの症状を認めた場合には、低Ca血症の可能性も考慮すべきである。

著者(発表者)
吉田衝未ほか
所属施設名
(医)社団茅ヶ崎セントラルクリニック
表題(演題)
ボノプラザン投与後、急激に低Ca血症をきたした血液透析患者の一例
雑誌名(学会名)
日本透析医学会雑誌 54(S-1) 441 (2021.6)
第66回 日本透析医学会学術集会・総会(2021.6.4-6)

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