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アジスロマイシンによる劇症肝炎

2014年2月掲載

薬剤 アジスロマイシン抗生物質製剤
副作用 劇症肝炎
概要 52歳、男性。3ヵ月前に原因不明の急性肝炎で入院歴あり。抜歯後の発熱持続でアジスロマイシンを3日間投与された。投与終了翌日から肝機能障害があり、4日後に当院入院となった。入院時、総ビリルビン7.4mg/dL、PT35%で肝庇護療法と新鮮凍結血漿投与で経過観察したが、第10病日のCTで肝は造影不良で肝萎縮が進行し、プレドニゾロン投与を開始した。第13病日にはPT16%、肝性脳症Ⅱ度となり劇症肝炎と診断し、血漿交換療法と持続的血液濾過透析等の集学的治療を開始した。第17病日には肝性脳症は改善、総ビリルビン、PTも緩徐に改善し、第83病日に退院となった。アジスロマイシンのリンパ球幼弱化試験は陰性であったが、歯科の診療録から3ヵ月前の急性肝炎の入院9日前にアジスロマイシンが投与されていたことが判明し、アジスロマイシンによる劇症肝炎と診断した。

監修者コメント

アジスロマイシン(ジスロマック®)は呼吸器感染症やリンパ節炎、歯周囲炎等の感染症に広く使用されている抗生剤である。本症例では、抜歯後の発熱に対してアジスロマイシンを投与したところ、劇症肝炎を発症した。リンパ球幼弱化試験ではアジスロマイシンは陰性であったが、3ヵ月前にもアジスロマイシン投与後に急性肝炎にて入院している既往があり、原因薬剤としてはアジスロマイシンが考えられた。同剤による劇症肝炎の頻度は低いが、非常に重篤な副作用であるため、注意が必要である。問診や診療録による服薬履歴と副作用の既往歴などの確認が重要であることを改めて確認させられた症例である。

著者(発表者)
谷奈緒子ほか
所属施設名
箕面市立病院消化器内科
表題(演題)
アジスロマイシンによる劇症肝炎の1例
雑誌名(学会名)
肝臓 54(S-3) A862 (2013.11)
第40回 日本肝臓学会西部会 (2013.12.6-7)

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