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組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンによるギランバレー症候群

2014年1月掲載

薬剤 サーバリックス生物学的製剤
副作用 ギランバレー症候群
概要 12歳、女児。近医で初回の組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(サーバリックス®)を左上腕に接種した。その9日後の日中に手のしびれが出現し、続いて足、顔面がしびれるようになったため、同日夜に当院救急外来を受診し、末梢神経炎の疑いで即日入院した。前腕、下腿に感覚鈍麻、しびれを訴え、痛覚は消失し、いわゆるglove and socks型の感覚障害を認めた。入院翌日にはさらに嚥下障害を認めた。Guillain-Barre症候群(ギランバレー症候群:GBS)と診断し、ガンマグロブリン投与を開始した。5病日頃から改善傾向となり、12病日に神経伝導速度検査を実施し、改善を確認。症状もなく、退院した。22病日に胸が苦しい、手のしびれもあると訴え再診。GBSの再燃を疑い再入院した。前回同様ガンマグロブリン投与を開始し、30病日にはほぼ症状消失し、34病日には退院した。その後半年以上症状の再燃を認めていない。

監修者コメント

ギランバレー症候群(GBS)は進行性の筋力低下および腱反射低下・消失を主徴とする自己免疫性末梢神経障害である。多くの症例で発症前に何らかの先行感染を認めるが、各種ワクチン、特にインフルエンザ接種後の発症についても多数の報告がある。本症例では12歳女児に対して子宮頸がんの予防目的でヒトパピローマウイルスワクチン(サーバリックス®)を接種したところ、ギランバレー症候群を発症した。ガンマグロブリン投与による治療で軽快したが、退院後に再燃し、同様の治療を行うことで良好な経過を得ている。ヒトパピローマウイルスワクチンにおいても他のワクチンと同様にギランバレー症候群を発症する可能性があり、ワクチンの効果と危険性を十分考慮した上で投与の是非を決定すべきである。

著者(発表者)
中本哲ほか
所属施設名
市立千歳市民病院小児科
表題(演題)
ヒトパピローマウイルスワクチン接種後にGuillain-Barre症候群を発症し初回治療後症状が再燃した1女児例
雑誌名(学会名)
小児科 54(11) 1549-1554 (2013.10)

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