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アトルバスタチンによる抗セントロメア抗体陽性自己免疫性肝炎

2021年8月掲載

薬剤 アトルバスタチン循環器官用剤
副作用 抗セントロメア抗体陽性自己免疫性肝炎
概要 81歳、女性。2020年X月に褐色尿を主訴に近医を受診した。肝機能障害を認めたため当院に紹介入院となった。74歳時に脂質異常症と診断され、以来7年間他院で処方されたアトルバスタチンの服用歴がある。飲酒や肝炎ウイルスの関与は否定的であり、高γグロブリン血症および抗核抗体陽性であることから自己免疫性肝炎(AIH)が疑われた。各種自己抗体のうち抗セントロメア抗体のみ陽性を示したが、CREST症候群やRaynaud現象は認めなかった。肝生検より、typical AIHと診断された。AIH国際診断基準スコアは14点であり、AIH疑診例と診断された。治療としては、アトルバスタチン休薬とグリチルリチン製剤静注を施行し、肝機能は正常化した。

監修者コメント

高コレステロール血症治療薬であるアトルバスタチンによる薬剤誘導性AIHが疑われた一例である。スタチン製剤による肝障害はしばしば報告されているが、薬剤誘導性AIHは稀である。スタチン製剤を長期間服用している患者においては、AIHを含む肝炎を合併する可能性も考慮し、肝機能および肝臓の画像検査などの定期的な経過観察を行うことが重要である。

著者(発表者)
吉田幸成ほか
所属施設名
札幌しらかば台病院消化器内科ほか
表題(演題)
アトルバスタチンによる薬剤誘導性と考えられた抗セントロメア抗体陽性自己免疫性肝炎の一例
雑誌名(学会名)
第128回 日本消化器病学会・第122回 日本消化器内視鏡学会 北海道支部例会 プログラム・抄録集 68 (2021)
第128回 日本消化器病学会北海道支部例会 第122回 日本消化器内視鏡学会北海道支部例会(2021.3.6-7)

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