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ポピドンヨード剤によるバセドー病

2014年1月掲載

薬剤 ポピドンヨード外皮用薬
副作用 バセドー病
概要 34歳、男性。急性虫垂炎、穿孔性腹膜炎の診断にて虫垂切除術を施行した。術後2日目より弛張熱がみられ、腹壁膿瘍を形成したためペンローズドレーンを留置し、ポピドンヨード液による創洗浄を開始した。洗浄開始2週間を経過した頃より、前頚部に無痛性の腫脹を発症し次第に増大、画像診断及び血液内分泌検査結果より、バセドー病の急性発症と診断した。ただちにヨード剤の使用を中止し、チアマゾールの投与を開始した結果、7日目頃より甲状腺の腫脹は軽快傾向となった。

監修者コメント

本症例では、急性虫垂炎から生じた腹壁膿瘍に対し、ポピドンヨード剤による創洗浄を行ったところ、前頚部に無痛性の腫脹を認め、バセドー病の急性発症と診断された。ヨード剤の中止とチアマゾール投与により軽快した。男性のバセドー病は必ずしも稀ではないが、比較的緩徐に発症する。本症例は術前にバセドー病を疑わせる所見が認められなかったことから、ヨード剤の使用により急激に発症したと考えられる。本邦においては稀な発症形態といえる。

著者(発表者)
金田友之ほか
所属施設名
第一なるみ病院外科
表題(演題)
ポピドンヨード剤による創洗浄で発症した、バセドー病の1例
雑誌名(学会名)
日本臨床外科学会雑誌 74(増刊) 669 (2013.10)
第75回 日本臨床外科学会総会 (2013.11.21-23)

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