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ヒドロキシカルバミドによる頭部扁平上皮がん

2021年6月掲載

薬剤 ヒドロキシカルバミド腫瘍用薬
副作用 頭部扁平上皮がん
概要 72歳、男性。2002年12月、検診での白血球数増加を指摘され前医を受診し、脾腫とヘマトクリット(Hct)の上昇が出現したことから真性赤血球増加症(PV)と診断された。2009年10月より血小板数増加のためヒドロキシカルバミド(HC)が開始され、2015年7月に当院当科へ紹介となった。紹介時はHC 1000mg/週3日+500mg/週4日で治療されていた。血球増加傾向のため2015年12月よりHC 1000mg/日に増量し、以降は同量を継続していた。
2019年5月頃より、頭頂部皮膚に直径約2cmの黒色調の皮膚隆起が出現し、同年8月に当院皮膚科を紹介受診した。皮膚病理画像所見ではがん真珠形成を認め、高分化型扁平上皮がんの所見であった。背景皮膚に日光弾性線維症の所見を認めた。生検結果より高分化型扁平上皮がんと診断し、2019年9月に腫瘍切除術が施行された。PVに対する治療としては、2019年8月受診時よりHCを中止し、皮膚病変の治療完遂後よりブスルファンに変更後、現在まで皮膚病変の再燃は認めていない。また、Hctも45%未満にコントロールされている。

監修者コメント

PVに対するHCによる細胞減少療法中に頭部扁平上皮がんを発症した1例である。HCの副作用として、海外では扁平上皮がんを含む非黒色腫皮膚がん(NMSC)の発症例が報告されているが、国内では稀である。HC使用に伴うNMSCの発症部位は、本症例と同様に頭皮を含む顔や手などの日光暴露部位で頻度が高いことが指摘されている。HC使用中に日光曝露部位となる頭頂部などに皮膚の色調変化や腫瘤形成を認めた場合には、皮膚悪性腫瘍も考慮し、皮膚科専門医を受診すべきである。

著者(発表者)
鈴木愛ほか
所属施設名
山梨大学医学部血液・腫瘍内科ほか
表題(演題)
Hydroxycarbamideによる細胞減少療法中に頭部扁平上皮がんを発症した真性赤血球増加症
雑誌名(学会名)
臨床血液61(12) 1670-1672 (2020.12)

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