せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > イオメプロールによる急性汎発性発疹性膿疱症

イオメプロールによる急性汎発性発疹性膿疱症

2021年5月掲載

薬剤 イオメプロール診断用薬(体外診断用医薬品を除く)
副作用 急性汎発性発疹性膿疱症
概要 68歳、男性。前医のCT検査で右肺下葉に結節影を指摘され、精査加療目的に当院呼吸器病センターを受診した。非イオン性ヨード造影剤であるイオメロンを用いた造影CT検査施行数時間後より全身のそう痒感を自覚し、大腿部に紅斑が出現した。翌日に食思不振と全身性に多発する紅斑を認め、翌々日には食思不振は軽快するも38.2度の発熱と大腿部に小膿疱を伴った紅斑を認め、当科紹介受診となった。
血液検査にて好中球増加およびCRPの上昇がみられ、左大腿部の膿疱より皮膚生検を施行し好中球性の角層下膿疱を認めた。以上より急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)と診断し、プレドニゾロン内服による治療を開始して症状は速やかに軽快した。

監修者コメント

AGEPは重症薬疹の1つであり、浮腫性紅斑を背景に無菌性小膿疱の散在を認める。主に薬剤が原因となり、多くの症例で発熱と白血球上昇を伴うことが特徴である。原因薬剤としては、抗菌薬などが多く報告されているが、本症例のような非イオン性ヨード造影剤は稀である。2018年には、イオヘキソールとイオメプロールの2剤の副作用としてAGEPが判明し、厚生労働省より添付文書の改訂が指示されている。頻度は少ないものの、非イオン性ヨード造影剤でもAGEPを起こす可能性があるため、注意が必要である。

著者(発表者)
野見山留衣ほか
所属施設名
久留米大学ほか
表題(演題)
非イオン性ヨード造影剤が原因と考えられた急性汎発性発疹性膿疱症の1例
雑誌名(学会名)
第50回 日本皮膚免疫アレルギー学会総会学術大会 プログラム・抄録集 214 (2020)
第50回 日本皮膚免疫アレルギー学会総会学術大会(2020.12.22-24)

新着文献 一覧

PAGETOP