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フェブキソスタットによる薬剤性過敏症症候群

2014年1月掲載

薬剤 フェブキソスタットその他の代謝性医薬品
副作用 薬剤性過敏症症候群
概要 64歳、男性。 C型慢性肝炎に対して3剤併用療法(ペグインターフェロンα‐2b、リバビリン、テラプレビル)を開始し、同時にフェブキソスタット内服を開始した。約2ヵ月後より四肢・体幹に浸潤性紅斑が出現して拡大し、39℃台の発熱、頚部リンパ節腫脹、口腔粘膜疹も伴うようになった。テラプレビルによる薬剤性過敏症症候群(DIHS)を疑い、プレドニゾロン内服を開始したが、31病日より再び39℃台の発熱と体動時の胸背部痛が出現した。胸部CTで両肺に多発結節影を認め、気管支鏡検査を施行したが、各種感染症や特発性器質化肺炎は否定的であった。大量ガンマグロブリン療法を施行したところ解熱して、以後肺病変は縮小傾向となった。抗HHV‐6IgG抗体価は10倍から320倍に上昇した。約5ヵ月後に実施したDLSTは全て陰性であった。一方、パッチテストではフェブキソスタットのみ陽性所見を得た。以上よりフェブキソスタットによるDIHSの可能性を考えた。

監修者コメント

本症例では、C型慢性肝炎に対して3剤併用療法(ペグインターフェロンα‐2b、リバビリン、テラプレビル)を開始し、同時に高尿酸血症治療薬であるフェブキソスタット(フェブリク®)の内服を開始したところ、浸潤性紅斑、39℃台の発熱、頚部リンパ節腫脹、口腔粘膜疹を認め、薬剤性過敏症症候群(DIHS)と診断された。テラプレビルによるDIHSが報告されているが、本症例では5ヵ月後に施行したパッチテストにてフェブキソスタットのみ強陽性であったため、同薬剤によるDIHSが考えられた。DIHSはスティーブンス・ジョンソン症候群と並ぶ重症型の薬疹であり、C型慢性肝炎に対する3剤併用療法だけでなく、併用薬にも注意する必要がある。

著者(発表者)
喜多川千恵ほか
所属施設名
高知大学
表題(演題)
C型慢性肝炎に対する3剤併用療法(ペグインターフェロンα‐2b、リバビリン、テラプレビル)およびフェブキソスタット内服中にDIHSを発症した1例
雑誌名(学会名)
Journal of Environmental Dermatology and Cutaneous Allergology 7(5) 489 (2013.11)
第43回 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会 (2013.11.29-12.1)

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