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テルミサルタンによる高インスリン性低血糖症

2021年1月掲載

薬剤 テルミサルタン循環器官用剤
副作用 高インスリン性低血糖症
概要 67歳、男性。心原性脳塞栓症のために在宅医療を受けており、糖尿病の既往はない。10年前から高血圧症に対してテルミサルタンを内服していた。
定期血液検査にて空腹時血糖値が68mg/dL、インスリン値が19.3μU/mL、インスリン抗体は陰性であった。検査時の意識は清明で平時と変わりなく、腹部画像検査等では原因は見当たらなかった。そこで血糖降下作用を持ちうるテルミサルタンを中止し、6ヵ月観察した。低血糖症と高インスリン血症は以後検出されず、妻によると発語が増えた。

監修者コメント

テルミサルタンはアンジオテンシン受容体拮抗薬であり、高血圧症に対する治療薬として日常診療において頻繁に使用されている。本症例は、テルミサルタンの内服により、高インスリン性低血糖症をきたした1例である。添付文書にも、重大な副作用として、低血糖が注意喚起されている。本薬剤がインスリン抵抗性を改善することにより、血糖値およびインスリン値が低下する可能性が指摘されているが、本症例のような高インスリン性の低血糖症は稀といえる。本薬剤を内服中の患者は定期的な血糖値のチェックを行う必要があると考えられる。

著者(発表者)
西岡大輔ほか
所属施設名
東葛病院内科
表題(演題)
糖尿病歴のない在宅療養患者に生じた高インスリン性低血糖症の1例
雑誌名(学会名)
第662回 日本内科学会関東地方会 42 (2020)
第662回 日本内科学会関東地方会(2020.9.13)

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