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ジアゼパム、フルニトラゼパム、ブプレノルフィンによる悪性症候群

2014年1月掲載

薬剤 ジアゼパム中枢神経用薬
フルニトラゼパム中枢神経用薬
ブプレノルフィン中枢神経用薬
副作用 悪性症候群
概要 64歳、男性。20歳代から僧帽弁狭窄症を指摘されていたが、定期検診等は受けていなかった。労作時呼吸苦を自覚し、精査にて大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症、僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症、心房細動と診断されたため、大動脈弁置換術、僧帽弁置換術、左房maze手術を行った。術後約4時間で覚醒し始めたが、意識が混濁し体動が激しかったため、ジアゼパム、フルニトラゼパム、ブプレノルフィンを使用した。術後、激しい体動、意思疎通困難が続き、39℃台の発熱とCKの著しい上昇を認めたため、悪性症候群を疑い、ダントロレンの投与を開始した。CKは徐々に低下し、意識レベルと発熱も改善した。その後、循環、呼吸状態とも安定し、意識状態もさらに改善し歩行可能となったため、ダントロレンの投与を終了した。

監修者コメント

悪性症候群では抗精神病薬などを服用中に高熱、発汗、頻脈などの自律神経症状や筋強剛、振戦などの錐体外路症状が出現する。最近では抗パーキンソン病薬の中断や抗うつ薬、制吐剤などによっても悪性症候群が出現することが報告されている。本症例では開心術後に高度の不穏状態となり、ジアゼパム、フルニトラゼパム、ブプレノルフィンを投与したところ、高熱やCK上昇を認めたため、悪性症候群が疑われ、ダントロレンの投与により軽快した。悪性症候群の原因薬剤として、これまでに報告はないものの、ジアゼパム、フルニトラゼパム、ブプレノルフィンの可能性が考えられた。術前に抗精神病薬や抗パーキンソン病薬を内服していない患者でも、術後の鎮静、鎮痛薬使用で悪性症候群を引き起こす可能性があり、特徴的な臨床所見を見逃さないように注意する必要がある。

著者(発表者)
上原麻由子ほか
所属施設名
函館五稜郭病院胸部外科ほか
表題(演題)
開心術後に発症した悪性症候群
雑誌名(学会名)
胸部外科 66(12) 1052-1055 (2013.11)

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