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ベザフィブラートによる甲状腺機能低下症

2020年11月掲載

薬剤 ベザフィブラート循環器官用剤
副作用 甲状腺機能低下症
概要 51歳、男性。X-4年よりベザフィブラート(BZ)200mg/日の内服が開始されていた。X年に体重減少を主訴に初診となり、TSH 4.67μIU/mL、fT3 4.06pg/mL、fT4 2.52ng/dLと異常を認めた。TgAb 12.0IU/mL、TPOAb 5.0IU/mL、TRAb 1.0IU/Lと陰性で、MRIで下垂体に腫瘍は指摘されず、THRB遺伝子にG347R変異を認め甲状腺ホルモン不応症(RTHβ)と診断した。
X+1年頃から徐々にTSHの上昇、fT3およびfT4の低下を認め、X+3年には顕性の甲状腺機能低下症を呈した。TSH上昇を抑えるためレボチロキシン(LT4)100μg/日の投与を行うも、効果に乏しかった。BZを中止したところ3週間後には甲状腺機能低下症の改善を認め、LT4中止後も甲状腺機能低下は認めていない。

監修者コメント

RTHβは、甲状腺ホルモンに対する標的臓器の反応性が減弱している病態である。本症例は、THRB遺伝子に変異を認め、RTHβと診断されているが、高脂血症治療薬であるBZの投与により、甲状腺機能低下症をきたした。RTHβにおいては、BZの投与により甲状腺機能低下症を惹起する可能性があり、本疾患の治療を考える上で重要な症例といえる。

著者(発表者)
山下貴史ほか
所属施設名
京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学ほか
表題(演題)
ベザフィブラートによる甲状腺機能低下をきたした甲状腺ホルモン不応症の1例
雑誌名(学会名)
日本内分泌学会雑誌96(1) 252 (2020.8)
第93回 日本内分泌学会学術総会(2020.6.4-6)

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