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アピキサバン、エドキサバンによる血小板減少

2020年9月掲載

薬剤 アピキサバン血液・体液用薬
エドキサバン血液・体液用薬
副作用 血小板減少
概要 【症例1】84歳、男性。X-6年、労作性狭心症の診断で経皮的冠動脈形成術を施行した。X-1年3月、発作性心房細動に対してダビガトランを開始した。X年4月、貧血の進行を認め、ダビガトランをアピキサバン5mg2xに変更した。その後皮下出血を認めるようになり、X年10月の入院後アピキサバンを中止して血小板輸血を行うも奏功せず、第44病日に頭頂葉出血を発症した。第46病日からγグロブリン大量療法、第57病日からメチルプレドニゾロンの使用を開始し、血小板数は上昇傾向へ転じた。第89病日に軽快退院となった。
【症例2】86歳、男性。X-6年、慢性心房細動および拡張型心筋症の診断で除細動器植え込み後、ワルファリンの投与を開始した。X年9月、上腹部不快感のためワルファリンをエドキサバン30mg1xへ変更した。X年12月4日、定期外来受診時に血小板数の減少を認めたため、エドキサバンをダビガトランへ変更した。変更後も血小板数は改善せず、X年12月16日に入院となった。第26病日にトロンボポエチン投与を開始した後は血小板数減少を認めず、第34病日に軽快退院となった。

監修者コメント

従来、心房細動患者における抗凝固療法にはワルファリンが用いられてきたが、近年、ワルファリンとは異なる作用機序を持ったXa阻害薬が開発され、その効果や管理の簡便さからワルファリンに代わる新たな抗凝固療法として使用されている。しかし、安全性に関してはデータの蓄積が不足しており、今後十分な検討が必要である。本文献では、Xa阻害薬であるアピキサバンおよびエドキサバンの投与により著明な血小板減少をきたした2症例を報告している。血小板減少は重大な出血に繋がり得るため、Xa阻害薬を使用する際には、血小板数のモニターなどを行うことが重要である。

著者(発表者)
大井田充範ほか
所属施設名
公益財団法人心臓血管研究所付属病院循環器内科
表題(演題)
心房細動患者に対するXa阻害薬による抗凝固療法開始後に著明な血小板減少を認めた2症例
雑誌名(学会名)
心臓52(4) 429-435 (2020.4)

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