ラムシルマブによる心不全
2020年5月掲載
薬剤 | ラムシルマブ腫瘍用薬 |
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副作用 | 心不全 |
概要 | 52歳、男性。肺腺癌術後の再発に対し、2nd lineとしてドセタキセルとラムシルマブ初回投与を行った。ラムシルマブ投与直後にinfusion reactionを起こし、アドレナリン、ステロイド、ヒスタミン阻害剤を投与し症状は安定、第2病日に退院となった。しかし、労作時呼吸困難が持続し、第10病日に再入院となった。心臓超音波検査にて心拍出率27%と著明な低下を認めた。冠動脈疾患等は否定的であり、薬剤性の心不全と考えられた。利尿剤・降圧剤による治療を行い、現在、症状は改善傾向である。 |
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ヒト型抗VEGFR-2モノクローナル抗体であるラムシルマブは、血管新生を阻害することで癌細胞の増殖を抑制する分子標的薬である。本症例は、肺腺癌術後再発に対するラムシルマブの投与による薬剤性心不全が疑われた1例である。本薬剤の投与により心不全を発症した報告はないが、基礎的な研究においてVEGF阻害薬投与と心不全との関連を示唆する報告があり、今後も症例を蓄積して十分な検証を行う必要がある。
- 著者(発表者)
- 矢ヶ﨑秀彦ほか
- 所属施設名
- 東海大学医学部付属病院外科学系呼吸器外科学
- 表題(演題)
- 肺腺癌術後再発に対するラムシルマブ初回投与による薬剤性心不全が疑われた1例
- 雑誌名(学会名)
- 第186回 日本肺癌学会関東支部学術集会 プログラム・抄録集 26 (2019)
第186回 日本肺癌学会関東支部学術集会 (2019.12.14)
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