トリアムシノロンによる中指屈筋腱腱鞘断裂
2013年12月掲載
薬剤 | トリアムシノロンアセトニドホルモン剤(抗ホルモン剤を含む) |
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副作用 | 中指屈筋腱腱鞘断裂 |
概要 | 17歳、男性。剣道の竹刀を握ると左中指から手掌部に痛みを自覚し、トリアムシノロンの腱鞘内注射が3回行われた。その後、屈筋腱の手掌部への膨隆が著明となり当科を受診した。初診時、左中指MP関節を中心に屈筋腱のbow string現象著明で、中指のfull gripは困難であった。手術時所見ではA1 pulleyからC1 pulleyまで断裂し、一部消失していた。長掌筋腱を採取し、基節骨に骨孔を作成しA2 pulleyを再建、残存したpulleyを利用してA1 pulleyを再建した。術後3ヵ月で屈筋腱の浮き上がりは認めず、full grip可能となった。 |
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トリアムシノロン(ケナコルト-A®)は作用が強力で、長期間効果が持続するステロイド剤であるが、皮膚炎、脂肪萎縮、腱断裂などの副作用が報告されている。本症例では剣道による左中指から手掌部の疼痛に対し、トリアムシノロンの腱鞘内注射を3回行ったところ、中指屈筋腱腱鞘断裂を生じた。トリアムシノロンの腱鞘内注射の合併症として腱鞘断裂はほとんど報告がないが、トリアムシノロン使用時には腱鞘断裂の副作用も念頭に置き、年齢、部位により注射量を適宜調節する必要があると考えられる。
- 著者(発表者)
- 松岡秀明ほか
- 所属施設名
- 静岡県立総合病院整形外科
- 表題(演題)
- トリアムシノロン腱鞘内注射後に中指屈筋腱腱鞘断裂を生じた1例
- 雑誌名(学会名)
- 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 56(4) 889-890 (2013.7)
第120回 中部日本整形外科災害外科学会 (2013.4.5-6)
監修者コメント