せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > ラモトリギンによる薬疹

ラモトリギンによる薬疹

2019年7月掲載

薬剤 ラモトリギン中枢神経用薬
副作用 薬疹
概要 70歳代、男性。約2年前より症候性てんかんで当院神経内科に通院していた。当科初診の1週間前から顔面と体幹・四肢に紅斑が出現し、徐々に増悪した。皮疹出現の17ヵ月前からレベチラセタム、7ヵ月前からニフェジピン、5ヵ月前からラモトリギン(LTG)が開始されていた。内服開始5ヵ月後と遅発性の発症ではあるが、LTGによる薬剤性過敏症症候群(DIHS)の可能性を考え、同剤の内服を中止した。しかし、その後も皮疹は拡大し、消退までに3週間を要した。血液検査では急性期に好酸球増多と血清thymus and activation-regulated chemokine(TARC)値の上昇を認め、皮疹出現から約1ヵ月後にhuman herpesvirus 6(HHV-6)の再活性化がみられた。発熱、肝機能障害、リンパ節腫脹は認められず、DIHSの診断基準を満たさなかったが、類似の病態であると考えた。

監修者コメント

抗てんかん薬であるラモトリギン(ラミクタール®️)によりDIHSに類似した全身性薬疹を発症した一例である。DIHSとは、抗てんかん薬などの薬剤により、発熱や多臓器障害を伴い遅発性に発症する重症型薬疹であり、薬剤アレルギーとHHV-6を代表とするヒトヘルペスウイルスの再活性化が複合した病態と考えられている。通常、DIHSは薬剤投与開始後3週間以上を経て遅発性に発症するが、本症例は内服開始5ヵ月後に発症した。通常よりも遅れて発症した原因については、本薬剤の代謝に関与するグルクロン酸抱合を誘導するカルバマゼピンとの併用が影響していることが考えられた。

著者(発表者)
中島杏奈ほか
所属施設名
奈良県立医科大学皮膚科教室
表題(演題)
ラモトリギン内服開始5ヶ月後に発症し、薬剤性過敏症症候群と類似の病態を呈した薬疹の1例
雑誌名(学会名)
皮膚の科学 17(4) 210-215 (2018.8)

新着文献 一覧

PAGETOP