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ゾレドロン酸、デノスマブによる顎骨壊死、頭蓋内硬膜外膿瘍

2019年7月掲載

薬剤 ゾレドロン酸その他の代謝性医薬品
デノスマブその他の代謝性医薬品
副作用 顎骨壊死、頭蓋内硬膜外膿瘍
概要 73歳、女性。右乳癌の多発骨転移ならびに脊椎転移と診断され、nab-paclitaxel 260 mg/m2、bevacizumab 10 mg/kgとletrozole 2.5 mgの経口投与を開始した。右乳房切除および右腋窩郭清術後も試行し、術後よりzoledronic acid hydrate 4 mgの4週に1回投与の併用も開始した。タキサン系薬剤による末梢神経障害で一時的にレジメンを変更が、化学療法は有効であった。化学療法開始から約1年後、左頬部腫脹が生じ顎骨壊死と左側頬部蜂巣炎と診断された。しかし病態からzoledronic acid hydrateは継続し、約半年後よりdenosumab 120 mgに変更した。腫瘍マーカーの1-CTPとCA15-3はともに陰性化していたが、顎骨壊死は増悪し、頭蓋内硬膜外膿瘍まで伸展した。意識障害も生じたため、ドレナージ術の適応を検討したが家族の同意が得られず、対症治療のみ施行した。その後、意識を回復することなく死亡した。

監修者コメント

乳癌の骨転移に対するゾレドロン酸(ゾメタ®)およびデノスマブ(ランマーク®️)の投与により、顎骨壊死から頭蓋内硬膜外膿瘍を来たした一例である。これらの薬剤による薬剤関連顎骨壊死の報告は散見されるが、頭蓋内硬膜外膿瘍を来たした症例は比較的稀である。薬剤関連顎骨壊死は、解剖学的・細菌学的なリスク因子に加え、癌治療に使用される抗癌剤などがリスク因子として考えられている。特に乳癌の多発骨転移の患者は薬剤関連顎骨壊死のリスクが高く、化学療法施行時には口腔内ケアや歯周囲炎の早期発見などが重要である。

著者(発表者)
安藤達也ほか
所属施設名
宝塚第一病院・外科ほか
表題(演題)
薬剤関連顎骨壊死から頭蓋内硬膜外膿瘍を来した1例
雑誌名(学会名)
癌と化学療法 46 (2) 271-273 (2019.2)

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