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メトトレキサートによるリステリア髄膜炎

2019年4月掲載

薬剤 メトトレキサートその他の代謝性医薬品
副作用 リステリア髄膜炎
概要 59歳、女性。関節リウマチがあり、メトトレキサート(リウマトレックス®️)内服中であった。来院2日前までは普段通りであったが、来院前日の朝に発熱、倦怠感が出現、歩行時のふらつきもあったため、頭部CT(Computed Tomography)を施行したが異常所見なく解熱鎮痛剤の処方のみで帰宅となった。来院当日の朝から意識障害が出現、徐々に増悪した。意識障害と項部硬直を認めたことから細菌性髄膜炎を疑い、エンピリックにメロペネム(MEPM)+バンコマイシンにて加療を開始した。髄液培養検査の結果からはListeria monocytogenesを検出、感受性を考慮してアンピシリン+MEPMに変更した。症状は徐々に改善、検査所見の改善を確認して抗菌薬は終了とし、リハビリ目的で転院となった。

監修者コメント

関節リウマチの治療として使用していたメトトレキサートの内服を契機にリステリア髄膜炎を発症した一例である。リステリアの感染経路は乳製品などの食品感染が主とされており、本症例はおつまみのチーズの摂取およびメトトレキサートの内服が原因と考えられた。メトトレキサートの副作用として、結核やニューモシスチス肺炎などの感染症が報告されているが、食事歴によってはリステリア感染症の可能性も念頭に置く必要がある。

著者(発表者)
内原嘉仁ほか
所属施設名
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院感染症科ほか
表題(演題)
メトトレキサート内服を契機にリステリア髄膜炎をきたした59歳女性の1例
雑誌名(学会名)
第88回 日本感染症学会西日本地方会学術集会
第61回 日本感染症学会中日本地方会学術集会
第66回 日本化学療法学会西日本支部総会 合同開催 プログラム・抄録集 172 (2018)
第88回 日本感染症学会西日本地方会学術集会 第61回 日本感染症学会中日本地方会学術集会
第66回 日本化学療法学会西日本支部総会 (2018.11.16-18)

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