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デュロキセチンによる遷延性離脱症候群

2019年2月掲載

薬剤 デュロキセチン中枢神経用薬
副作用 遷延性離脱症候群
概要 35歳、女性。うつ病と診断され、X年6月よりduloxetine 20mgが処方された。7月中旬に40mgに増量後、継続服用していた。8月中旬に2日間飲み忘れたところ、不安・焦燥感、四肢振戦、四肢の電気ショック様感覚、寒気、悪心、浮動性めまい、動悸、頭痛が出現した。3日後にduloxetine 40mgを再開し、数日間で寒気、吐き気、めまい、動悸は軽減、消失した。しかし、不安・焦燥感のほか、四肢振戦、などが残存し、電気ショック様感覚を主とする離脱症状が遷延した。朝食後40mg1回服用から、20mgずつ朝食後と夕食後に分けて服用したところ、電気ショック様感覚は軽減した。その後は脱カプしたduloxetine顆粒を10mg、5mg、3mgの順番で慎重に減量し、X+2年8月に完全に中止した。

監修者コメント

抗うつ薬による離脱症候群は、抗うつ薬を急速に減量または突然に中止した後に、不安、焦燥、情動不安定、めまい、ふらつき、頭痛、悪心などの症状を呈する病態である。本症例では、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬であるデュロキセチン(サインバルタ®)の内服中に2日間の自己中断により、減量中止まで約2年間を要する遷延性離脱症候群を発症した。離脱症状の大半は1週間程度で消失することが多く、本症例のように遷延化して重篤な離脱症状を呈することは極めて稀である。本薬剤を減量中止する際には、慎重に漸減していくことが重要である。

著者(発表者)
野呂浩史ほか
所属施設名
南平岸内科クリニック精神神経科
表題(演題)
Duloxetineによって遷延性離脱症候群を呈した1例 ―脱カプセルを利用した減量中止の検討―
雑誌名(学会名)
臨床精神薬理 21(9) 1235-1241 (2018.9)

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