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ブチルスコポラミンによるアナフィラキシーショック

2019年1月掲載

薬剤 ブチルスコポラミン末梢神経系用剤
副作用 アナフィラキシーショック
概要 63歳、女性。心窩部違和感にて上部消化管内視鏡検査を行った。リドカインスプレーを咽喉頭部に噴霧したのち、ジメチコン(ガスコン®)、プロナーゼ、重曹を経口投与した。ロヒプノール、ペチジン、ブチルスコポラミンを静脈投与し、入眠した状態で内視鏡検査が施行された。検査が終了する直前に胃壁の色調変化を認め、パルスオキシメーターの脈波検出不能、血圧測定不能となった。JCS300、内頚動脈蝕知微弱、脈拍140bpm、皮膚の紅潮が認められた。酸素投与と気道確保を行い、エピネフリン、ヒドロコルチゾン、フルマゼニルなどを投与し、血圧が上昇してから病棟へ搬送した。数時間で全身状態は改善、意識レベルも回復した。循環虚脱、皮膚症状からアナフィラキシーショックを疑い、ヒスタミンとトリプターゼを測定、それぞれ高値で、アナフィラキシーと診断した。約2ヶ月後に使用したすべての薬剤に対し皮膚テストを行ったところ、ブチルスコポラミンのみ陽性であった。さらに好塩基球刺激試験を行い、診断を確定させた。

監修者コメント

本症例はブチルスコポラミン(ブスコパン®)を用いた上部消化管内視鏡検査施行中にアナフィラキシーショックを発症した一例である。ブチルスコポラミンによるアナフィラキシーショックは極めて稀であるが、同薬剤は消化管検査時や腹痛時における鎮痛鎮痙薬として頻用されており、アナフィラキシーが起こり得ることに注意すべきである。

著者(発表者)
白石としえほか
所属施設名
四谷メディカルキューブきずの小さな手術センター麻酔科
表題(演題)
ブチルスコポラミンによるアナフィラキシーショックの1症例
雑誌名(学会名)
日本麻酔科学会関東甲信越・東京支部 第58回 プログラム・抄録集(Web) P34-05
第58回 日本麻酔科学会関東甲信越・東京支部合同学術集会(2018.9.1)

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