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フェンタニルによる続発性副腎皮質機能低下症

2018年11月掲載

薬剤 フェンタニル非アルカロイド系麻薬
副作用 続発性副腎皮質機能低下症
概要 46歳、女性。約4年前に他院にて子宮筋腫に対する手術を行い、術後より臀部と大腿部に横紋筋融解症を発症した。その後遺症として同部位に慢性疼痛が出現したことから、フェンタニル貼付剤などによる治療を開始し、現在まで疼痛管理を継続していた。今回、腹痛を主訴に受診し、採血検査でACTH:5.0 pg/mL、コルチゾール: 1.9μg/dLと中枢性副腎皮質機能低下症を疑わせる所見を認めたため、コートリル10 mg分2朝昼後の内服が開始された。下垂体MRI検査では明らかな器質的異常は認められず、精査加療目的で転院となった。4者負荷試験では負荷前 ACTH:4.7 pg/mL、15分後(頂値): 97.1 pg/mLと反応性が良好であったことから、フェンタニル持続投与による続発性副腎皮質機能低下症と診断された。慢性疼痛治療のためフェンタニル貼付剤の減量・中止は困難であり、コートリル10 mg分2朝昼後の内服投与を継続する方針とし、退院となった。

監修者コメント

経皮吸収型の持続性疼痛治療薬であるフェンタニル貼付剤の長期投与により続発性副腎皮質機能低下症を来した一例である。続発性副腎皮質機能低下症の原因としては、ステロイドの長期投与によるものが最も多い。本症例のようなフェンタニルの持続投与による副腎皮質機能低下症は稀であり、興味深い報告である。

著者(発表者)
桑井匠ほか
所属施設名
京都大学医学部附属病院糖尿病・内分泌・栄養内科
表題(演題)
非癌性慢性疼痛に対する約4年間のオピオイド貼付剤投与治療により続発性副腎皮質機能低下症を来した1例
雑誌名(学会名)
第219回 日本内科学会近畿地方会 103 (2018)
第219回 日本内科学会近畿地方会 (2018.3.3)

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