ニボルマブによるサイトカイン放出症候群
2018年11月掲載
薬剤 | ニボルマブ腫瘍用薬 |
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副作用 | サイトカイン放出症候群 |
概要 | 43歳、男性。進行胃癌(腺癌、HER2 1+)に対する3次化学療法としてニボルマブを開始した。ニボルマブ1コースday 8に39℃の発熱を認め、D-Bil有意のT-Bil上昇、γ -GTP上昇およびALP上昇を認めた。肝生検では胆汁うっ滞型の肝障害の所見で、リンパ球の浸潤は乏しかった。また、血液検査において、自己免疫性疾患やウイルス感染症は否定的であった。ニボルマブによる肝障害と診断し、プレドニゾロン(PSL)1 mg/kgを開始し、ステロイドパルスも行ったが肝障害の増悪を止められず、PSLにミコフェノール2 g/日を併用し、肝障害の軽快を認めた。患者血清を用いた検討で発症初期にIFN-γ の有意な上昇を、途中からTNF-α の著明な上昇を認めたことから、サイトカイン放出症候群を来した可能性が示唆された。 |
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サイトカイン放出症候群(CRS)は、抗体医薬品などの投与により血中に炎症性サイトカインが放出され、悪寒、悪心、倦怠感、頭痛、発熱、頻脈、血圧変動などをきたす病態である。本文献では、進行胃癌に対して抗PD-1抗体薬であるニボルマブを導入したところCRSを発症した症例を報告している。これまでに胃癌におけるニボルマブ投与後のCRSに関する報告はなく、貴重な症例といえる。今後も免疫チェックポイント阻害剤を使用する機会は増加することが予想されるため、副作用としてCRSの合併に注意する必要がある。
- 著者(発表者)
- 小田裕靖ほか
- 所属施設名
- 三重大学医学部附属病院腫瘍内科ほか
- 表題(演題)
- ニボルマブ投与後にサイトカイン放出症候群を来した胃癌の一例
- 雑誌名(学会名)
- 第16回 日本臨床腫瘍学会学術集会 抄録集(USB) P1-201 (2018)
第16回 日本臨床腫瘍学会学術集会 (2018.7.19-21)
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