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スギ花粉症に対する舌下免疫療法による好酸球性食道炎

2018年11月掲載

薬剤 標準化スギ花粉エキス原液アレルギー用薬
副作用 好酸球性食道炎
概要 53歳、女性。201X-1年に萎縮性胃炎を指摘され、ピロリ菌を除菌されたが、その際の検査では、食道に異常は指摘されなかった。201X年からスギ花粉症に対してシダトレン®による舌下免疫療法(SLIT)が開始となった。開始13日目に軽度の胸部不快感を自覚したが、症状も軽度であり受診はしなかった。しかし、症状は徐々に増悪し、開始18日目には強い胸部つかえ感を自覚し、頻回の嘔吐を認めたため、当院救急外来を受診した。CT検査にて食道壁肥厚を指摘され、上部内視鏡検査では食道中部から下部にかけて縦走溝、リング状変形、散在する白斑を認め、病理組織検査で食道上皮に好酸球浸潤を認め、好酸球性食道炎と診断された。SLITが病態に関与している可能性が考えられたため、内視鏡検査以降はSLITを中止し、ラベプラゾールの投与を開始した。その後症状と炎症所見はは徐々に改善した。

監修者コメント

好酸球性食道炎は、食道局所における好酸球浸潤を特徴とする慢性炎症により食事のつかえ感や胸やけなどの症状をきたす疾患である。本文献では、スギ花粉症に対するSLIT開始後に好酸球性食道炎を発症した症例を報告している。スギ花粉症に対するSLIT後に好酸球性食道炎を発症する可能性があることや、スギ花粉などの吸入抗原の食道への曝露が好酸球性食道炎の発症に関与している可能性を示唆している点で興味深い報告である。

著者(発表者)
川島耕作ほか
所属施設名
島根大学医学部内科学第二
表題(演題)
スギ花粉症に対する舌下免疫療法開始後に発症した好酸球性食道炎の1例
雑誌名(学会名)
第72回 日本食道学会学術集会 抄録集(Web) P1-2 (2018)
第72回 日本食道学会学術集会 (2018.6.28-29)

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