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インターフェロンベータによる虚血性大腸炎

2013年10月掲載

薬剤 インターフェロンベータ生物学的製剤
副作用 虚血性大腸炎
概要 60歳、女性。10年前よりC型慢性肝炎にて肝庇護療法を行っていたが、精査加療目的で当科を受診した。本人の希望もありインターフェロンベータとリバビリンの投与を開始した。治療開始後4週間でウイルスは検出感度以下となったが、その後、再び陽性化したため、インターフェロンベータ600万単位の連日投与を開始した。5日後より腹痛、血性下痢が出現し、翌日の大腸内視鏡検査では上行結腸に粘膜浮腫と出血を認めたため、インターフェロンベータとリバビリンを中止した。生検では非特異的炎症所見のみで、便培養でも病原菌を認めず、虚血性大腸炎と診断した。腸炎は3週間の経過で軽快した。

監修者コメント

現在のC型慢性肝炎に対する治療には、インターフェロンアルファ製剤を用いたものが多く、合併症としての虚血性大腸炎の報告も散見される。本文献ではインターフェロンベータにおいても虚血性大腸炎を発症したことを報告しており、ベータ製剤投与時もアルファ製剤と同様の注意が必要である。虚血性大腸炎の発症機序については不明な点が多いが、他にもインターフェロンの副作用として、網膜病変、狭心症、脳出血などが報告されており、インターフェロン投与により虚血性変化が起こる可能性は十分に考えられる。インターフェロン投与時は虚血性変化に伴う合併症に関して十分に注意する必要がある。

著者(発表者)
沼尾宏ほか
所属施設名
青森県立中央病院消化器内科ほか
表題(演題)
インターフェロン治療中に虚血性大腸炎を合併したC型慢性肝炎の1例
雑誌名(学会名)
日本内科学会東北地方会会誌 25(2) 29 (2013)
第199回 日本内科学会東北地方会 (2013.6.15)

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