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ロキソプロフェンナトリウム(ハリー解熱鎮痛薬L®)による中毒性表皮壊死融解症

2018年9月掲載

薬剤 ロキソプロフェンナトリウム一般用医薬品
ハリー解熱鎮痛薬L一般用医薬品
副作用 中毒性表皮壊死融解症
概要 50歳、男性。30年前より慢性頭痛があり、7年前から医療用医薬品のロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン®)、2年前から一般用医薬品のロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン®S)、17日前から一般用医薬品のロキソプロフェンナトリウム(ハリー解熱鎮痛薬L、以下ハリー)を1日1錠内服していた。ハリー内服開始数日後より歯肉の腫脹疼痛を自覚、内服11日目より38℃の発熱、13日目には全身の紅斑、喀痰増加があり、眼球結膜の充血もみとめられた。17日目に当科を初診し、中毒性表皮壊死融解症の診断で入院した。
入院3日目と発症3ヵ月後に施行した薬剤リンパ球刺激試験で、内服歴のあるロキソニン®、ロキソニン®Sならびにハリーに共通する主成分のロキソプロフェンナトリウムは陰性であったが、ハリーのみに含まれる添加物のトウモロコシデンプン、セルロース、CMC-Ca、無水ケイ酸のうち、CMC-Ca以外陽性または疑陽性を認めたことから、添加物もしくは微量の不純物などによる薬疹が疑われた。
入院後、ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム)1,000 mg/日×3日間および単純血漿交換法を施行し、翌日より皮疹の進行は抑えられた。経過中、紅斑の残存とびらんの拡大傾向をみとめたため、入院6日目より免疫グロブリン大量静注療法(400 mg/kg/日×5日間)を追加し、徐々に皮疹の上皮化をみとめた。その後、プレドニゾロンを65 mg/日(1 mg/kg/日)を開始し、経過は良好で、漸減中止した。眼症状について、左角膜上皮欠損や偽膜を認めたが、最終的に角膜移植は必要とせず、ドライアイのみが残った。

監修者コメント

本文献では、ロキソプロフェンナトリウムの後発品(ハリー解熱鎮痛薬L)により中毒性表皮壊死融解症を発症した1例を報告している。主成分であるロキソプロフェンナトリウムのDLSTは陰性であり、本薬剤に含有される添加物もしくは不純物などによる薬疹が疑われている。近年、後発品の積極的な使用がすすめられているが、主成分は先発品と同じであっても、異なった副成分により本症例のような重篤な副作用を発症する可能性があり、注意が必要である。

著者(発表者)
園山悦子ほか
所属施設名
市立東大阪医療センター皮膚科
表題(演題)
ロキソプロフェンナトリウム後発品に含有する添加物もしくは不純物が原因と考えられた中毒性表皮壊死融解症の1例
雑誌名(学会名)
皮膚科の臨床 60(5) 722-723 (2018.5)
第451回 日本皮膚科学会大阪地方会

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