インスリンアスパルトによる脂肪萎縮症
2018年9月掲載
薬剤 | インスリンアスパルトホルモン剤(抗ホルモン剤を含む) |
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副作用 | 脂肪萎縮症 |
概要 | 69歳、男性。初診の3年半前から2型糖尿病に対し、右大腿の同一部位に毎食前インスリンアナログ混合型製剤(ノボラピッド30ミックスフレックスペン®)を皮下注していた。初診の前日に右大腿部の陥凹に気づき受診した。右大腿伸側の皮膚が帯状に陥凹し、MRIでは同部位の皮下脂肪織の著明な萎縮がみられ、インスリン脂肪萎縮症と診断した。インスリンの注射部位を側腹部に変更したが、5ヵ月後の経過観察終了時まで右大腿の陥凹に変化はなかった。 |
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インスリン脂肪萎縮症とは、インスリン注射部位の皮下脂肪が萎縮することであり、萎縮部位における薬剤の吸収が不安定になるため、血糖コントロールが困難になることが問題となっている。予防のために注射部位のローテーションが推奨されている。動物由来のインスリンを使用しなくなった現在では稀な副作用となったが、糖尿病患者は年々増加しており、本症例のように現在使用されているインスリン製剤でも脂肪萎縮症が生じる可能性があることに注意すべきである。
- 著者(発表者)
- 長谷川道子ほか
- 所属施設名
- 伊勢崎市民病院皮膚科
- 表題(演題)
- インスリン脂肪萎縮症の1例と近年の内外報告52例の検討
- 雑誌名(学会名)
- 臨床皮膚科 72(6) 409-413 (2018.5)
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