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メトトレキサートによるリンパ増殖性疾患

2013年9月掲載

薬剤 メトトレキサートその他の代謝性医薬品
副作用 リンパ増殖性疾患
概要 84歳、女性。関節リウマチに対してメトトレキサート(MTX)8mgを投与していた。右側下顎前歯部の痛みと腫れを訴え、近医受診。下顎歯肉腫瘍の診断で当科を受診した。疼痛コントロールを行った後、局所麻酔下で生検を行ったところ、病理組織学的診断として、EBV陽性のMTX関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の報告を得た。MTXの内服を中止し、悪性リンパ腫に対する化学療法は必要に応じて考慮することとした。1ヵ月後には腫瘍は消失し、疼痛も改善された。

監修者コメント

関節リウマチなどの患者がMTX治療開始後に悪性リンパ腫を発症した報告は数多く報告されており、MTX関連リンパ増殖性疾患と呼んでいる。特に、EBV陽性のホジキンリンパ腫はMTX服用により有意に増加すると報告されており、MTXが免疫系を抑制しEBV複製を誘導することで悪性リンパ腫の発生を助長すると考えられている。本症例は関節リウマチ患者の下顎歯肉にEBV陽性のMTX関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を認め、MTXの休薬により寛解した。関節リウマチなどの患者に対してMTXを投与する際には MTX関連リンパ増殖性疾患の発症を考慮し、定期的な全身精査が必要である。稀ではあるが、口腔領域にも MTX関連リンパ増殖性疾患が発生する可能性があることを認識しておく必要がある。

著者(発表者)
愛甲勝哉ほか
所属施設名
武蔵野赤十字病院特殊歯科・口腔外科
表題(演題)
関節リウマチ患者の下顎歯肉に発症したメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患が休薬により完全寛解した1例
雑誌名(学会名)
日本口腔外科学会雑誌 59(5) 341-345 (2013.5)
第56回 日本口腔外科学会総会学術大会 (2011.10)

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