ロメフロキサシン塩酸塩による遷延性低血糖
2018年6月掲載
薬剤 | ロメフロキサシン塩酸塩化学療法剤 |
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副作用 | 遷延性低血糖 |
概要 | 80代、男性。来院3日前から感冒症状に対し、元来の常用薬に加えロメフロキサシン塩酸塩(LFLX)とジクロフェナクナトリウムを追加処方され内服していた。来院当日、1時間持続する四肢の不随意運動および反応不良にて、救急搬送された。来院時、意識レベル低下と四肢の不規則な運動、および低血糖を認めた。ブドウ糖投与により意識レベルは改善し、不随意運動も改善したものの、低血糖は遷延し、頻回な血糖補正を要した。低血糖はLFLX中止により改善したことから、本剤による薬剤性低血糖の可能性が高いと考えられた。 |
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ニューキノロン系抗菌薬であるLFLXは、糖尿病治療薬であるスルホニル尿素系薬(SU薬)との併用で低血糖を生じやすいことが報告されている。本症例は、SU薬の内服はないものの、高齢者であり、腎機能障害もあるため、LFLXの血中濃度が上昇し低血糖が出現したと考えられた。糖尿病患者や高齢者、腎機能障害患者にLFLXを使用する際には、薬剤性低血糖の発症に十分に注意する必要がある。
- 著者(発表者)
- 益岡友里恵ほか
- 所属施設名
- 東京ベイ・浦安市川医療センター救急集中治療科
- 表題(演題)
- ロメフロキサシン内服により遷延性低血糖を呈したと思われた一例
- 雑誌名(学会名)
- 日本救急医学会関東地方会雑誌 38(2) 278-280 (2017.12)
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