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ベタメタゾン・D‐クロルフェニラミンマレイン酸によるde novo B型肝炎

2013年9月掲載

薬剤 ベタメタゾン・D‐クロルフェニラミンマレイン酸ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 de novo B型肝炎
概要 73歳、男性。アレルギー性鼻炎に対し、セレスタミン2錠/日を約2年間服用。全身倦怠感、食欲不振を認め、当院を受診。AST1,473U/mL、ALT1,946U/mLと肝逸脱酵素の高値を認めたことから精査加療目的に入院となる。その後、HBs-Agの陽転化、HBe-Ag陽性、HBe-Ab陰性、HBc-Abの高力価陽性、IgM HBc-Abが陰性であることを確認した。また、HBV-DNAは6.4logIU/mLでありgenotypeCであった。2年前の採血ではHBs-Agは陰性であり、発症時にはIgMHBc-Abが陰性もHBc-Abが高力値陽性であったことより、de novo B型肝炎の病態と考えた。直ちにエンテカビルの投与を開始したところ、速やかに肝逸脱酵素の低下を認め、経過は良好であり、入院20日後に退院の運びとなった。

監修者コメント

抗CD20抗体であるリツキシマブを併用した化学療法により、HBs抗原陰性の既往感染者例がHBV再活性化の状態に陥るde novo B型肝炎が増加している。de novo B型肝炎はステロイド使用時にも認められているが、本症例のようにベタメタゾン・D-クロルフェニラミンマレイン酸(セレスタミン)の長期服用での発症は極めて稀である。ステロイドを少量含有した薬剤においても長期間の使用でde novo B型肝炎を発症する可能性が考えられた。de novo B型肝炎は劇症化率が高く、予後は不良なことが多いため、特にHBVキャリアや既往感染者がセレスタミンを長期に服用する際は十分に注意する必要がある。

著者(発表者)
酒見亮介ほか
所属施設名
戸畑共立病院消化器病センターほか
表題(演題)
ベタメタゾン・D‐クロルフェニラミンマレイン酸(セレスタミン)の長期服用によってde novo B型肝炎の発症が疑われた1例
雑誌名(学会名)
臨床と研究 90(6) 823-824 (2013.6)
第10回 北九州肝疾患研究会 (2012.10.19)

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