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イオパミドールによる肺動脈上昇、一過性意識障害

2018年6月掲載

薬剤 イオパミドール診断用薬(体外診断用医薬品を除く)
副作用 肺動脈上昇、意識障害
概要 70代、女性。白血病の精査目的に造影CTを行った。イオパミドールによる造影CT中に意識消失したが、数分後心肺蘇生を施行することなく回復した。造影CT上は肺動脈本幹・右心系の拡大を認め、下大動脈、肝静脈も造影されており、肺高血圧による右心不全と、両側代替動脈が造影不良であり、循環不全が示唆された。後日施行した心臓超音波検査では軽度肺高血圧症を認めた。また血液検査、骨髄検査より慢性骨髄性白血病(CML)の診断となった。

監修者コメント

近年、造影剤は改良され、有害事象は少なくなっているが、造影剤による粘調度の増加と容量負荷による肺動脈圧の上昇が報告されている。本症例では、CMLによる高粘稠度が増悪因子となり、造影剤投与により肺動脈圧が急激に上昇し、右心不全から循環不全に至ったと考えられている。特に骨髄増殖性疾患は肺高血圧を合併することが多く、造影剤の使用により肺動脈圧が上昇し、意識障害などを起こす可能性があるため、十分な注意が必要である。

著者(発表者)
一瀬麻紀ほか
所属施設名
公立昭和病院救命救急センター
表題(演題)
造影剤投与により急激な肺動脈圧上昇が生じ、一過性意識障害を起こした1例
雑誌名(学会名)
日本救急医学会関東地方会雑誌 38(2) 385-387 (2017.12)

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