せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > アロプリノールによるStevens-Johnson症候群

アロプリノールによるStevens-Johnson症候群

2018年4月掲載

薬剤 アロプリノールその他の代謝性医薬品
副作用 Stevens-Johnson症候群
概要 77歳、女性。ピロリ菌除菌、高尿酸血症に対し、ランソプラゾール+アモキシシリン水和物+クラリスロマイシン(ランサップ®)、アロプリノール(リボール®)を内服開始した。3週間後より発熱と全身に紅斑が出現し、プレドニゾロンを内服したが増悪し、当科を受診した。受診時、全身の浮腫性紅斑、口腔粘膜びらん、角膜上皮障害、病理組織学的に表皮の壊死性変化があった。当院での薬剤リンパ球刺激試験やパッチテストは陰性であったが、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子多型検査によりHLA-B*58:01保有が確認され、近医でのアロプリノールの薬剤リンパ刺激試験が陽性であったことにより、アロプリノールによるStevens-Johnson症候群(SJS)と診断した。

監修者コメント

SJSは発熱を伴う皮膚粘膜移行部における重篤な粘膜疹および皮膚の紅斑で、水疱、表皮剥離などの壊死性障害を認め、その多くは薬剤性である。近年、重症型薬疹の発症を予測するバイオマーカーとしてHLA遺伝子多型が注目されており、アロプリノール投与により重症型薬疹を発症した症例においてHLA-B*58:01との関連が報告されている。本症例でもHLA-B*58:01を保有していたことから、SJSの発症にアロプリノールが関与したことが推察されている。アロプリノールによる重症型薬疹に対して、HLA遺伝子多型の確認は原因薬剤を特定する上で重要であると考えられる。

著者(発表者)
山口加奈ほか
所属施設名
東邦大学医療センター大橋病院皮膚科学教室
表題(演題)
HLA-B*58:01保有者に生じたアロプリノールによるStevens-Johnson症候群の1例
雑誌名(学会名)
皮膚科の臨床 59(12) 1851-1855 (2017.11)
第115回 日本皮膚科学会総会

新着文献 一覧

PAGETOP