アスピリンによる大腸潰瘍
2013年9月掲載
薬剤 | アスピリン中枢神経用薬血液・体液用薬 |
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副作用 | 大腸潰瘍 |
概要 | 69歳、男性。18年前に脳梗塞を発症し、アスピリンが投与されていた。鮮血血便を認めたため、近医を受診し入院となった。アスピリンは中止され、絶食、中心静脈栄養管理となった。下部消化管内視鏡検査を施行したところ、横行結腸に限局性の狭窄を伴う潰瘍性病変を認めた。クローン病による大腸潰瘍瘢痕狭窄が疑われ、当科入院となった。精査によりアスピリン起因性大腸潰瘍に伴う狭窄と診断し、内視鏡下バルーン拡張術を施行した。 |
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カプセル内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡の普及により、アスピリンの消化管粘膜障害は上部消化管だけでなく、小腸粘膜のびらん、潰瘍、狭窄などが引き起こされることが明らかになってきた。NSAIDsによる大腸粘膜障害も報告されるようになってきたが、本症例のようにアスピリン単剤による大腸潰瘍から狭窄を生じた報告はまれである。また、本症例は腎不全が基礎疾患にあるが、これまでの報告においてもNSAIDs起因性大腸潰瘍症例の多くに腎不全を認めている。アスピリンの内服が必要な患者においては、副作用として上部消化管や小腸の粘膜障害だけでなく、大腸潰瘍ならびにそれに伴う大腸狭窄なども念頭に置く必要がある。
- 著者(発表者)
- 澁谷充彦ほか
- 所属施設名
- 市立豊中病院消化器内科ほか
- 表題(演題)
- アスピリンが原因と考えられる大腸潰瘍に伴い著明な狭窄をきたした1例
- 雑誌名(学会名)
- Gastroenterological Endoscopy 55(6) 1835-1841 (2013.6)
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