リバビリンによる薬剤性肺障害
2018年2月掲載
薬剤 | リバビリン化学療法剤 |
---|---|
副作用 | 肺障害 |
概要 | 84歳、女性。2ヵ月前に慢性C型肝炎の治療目的にソホスブビル、リバビリンの投与が開始され、数日前より呼吸困難感を自覚した。その後、徐々に呼吸苦が増悪し、肺炎の診断で抗菌薬治療を開始されたが、呼吸状態が急速に悪化し呼吸不全管理目的のためICUに入室した。心機能評価で心原性肺水腫は否定的であり、薬剤性肺障害を考慮し、ソホスブビル、リバビリンを被疑薬として中止、ステロイドパルス療法を開始した。しかし治療効果に乏しく、Day3にVV-ECMOを導入した。その後の経過は順調で、軽快退院となった。経過中の各種細菌培養結果は陰性であり、後日リンパ球刺激試験でリバビリン陽性が判明し、薬剤性肺障害が強く疑われる所見であった。 |
---|
本症例はC型肝炎に対してソホスブビルとともに投与したリバビリンにより薬剤性肺傷害を発症した1例である。被疑薬を中止の上、ステロイドパルス療法を行ったが効果に乏しく、体外式膜型人工肺であるExtracorporeal membrane oxygenation(ECMO)を用いた集中学的治療によって救命しえた。リバビリンが原因の重篤な薬剤性肺障害の報告は稀であるが、同剤の投与中に呼吸困難などの症状を認めた際には、薬剤性肺障害の可能性も考慮して適切な処置を行なう必要がある。
- 著者(発表者)
- 駄阿徳太郎ほか
- 所属施設名
- 大分大学医学部麻酔科学講座
- 表題(演題)
- ECMOを用いた集学的治療によって救命し得た薬剤性肺傷害の一例
- 雑誌名(学会名)
- 日本麻酔科学会九州麻酔科学会第55回大会 抄録集(Web)
第55回 日本麻酔科学会九州麻酔科学会大会 (2017.9.9)
監修者コメント