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シクロスポリンによる脳血管攣縮症候群

2018年1月掲載

薬剤 シクロスポリンその他の代謝性医薬品
副作用 脳血管攣縮症候群
概要 9歳、女児。学校検尿で尿異常を指摘され、当科紹介入院となり、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)糸球体尖亜型(tip variant)と診断した。ステロイド抵抗性であり、シクロスポリン(CyA)内服を開始され、開始後の血圧は概ね110~120mmHg台で経過した。第79病日より夜間の頭痛が生じ、翌々日には雷鳴様頭痛となったが、神経学的に異常徴候は認めず、血圧は154/93mmHgであった。CyAに起因する高血圧、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)を疑いCyAを中止、アムロジピンの内服を開始した。第92、172病日の頭部Magnetic Resonance Angiography(MRA)で脳血管狭窄化の改善を確認し、頭痛の原因はRCVSと最終診断した。

監修者コメント

RCVSは激しい頭痛(雷鳴頭痛)で急速に発症し、1ヶ月以内に収束する疾患で、画像検査で発症12週以内に正常化する分節上の脳血管狭窄を認めることが特徴である。本症例はFSGSに対するCyA療法中に激しい頭痛を発症し、RCVSと診断された1例である。免疫抑制剤であるCyAは本症例のようなネフローゼ症候群の他、臓器移植における拒絶反応の抑制などに広く使用されている。CyA投与中に頭痛を認めた場合には、RCVSも鑑別すべき疾患の1つであることを示唆する報告である。

著者(発表者)
山崎哲司ほか
所属施設名
大阪労災病院小児科ほか
表題(演題)
FSGSに対するシクロスポリン療法開始後に脳血管攣縮症候群(RCVS)を発症した1女児例
雑誌名(学会名)
第24回 日本小児高血圧研究会 プログラム・抄録集 26 (2017)
第24回 日本小児高血圧研究会 (2017.8.26)

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