油性造影剤による胎児甲状腺腫
2017年12月掲載
薬剤 | 油性造影剤その他 ヨード診断用薬(体外診断用医薬品を除く) |
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副作用 | 胎児甲状腺腫 |
概要 | 27歳、女性。甲状腺疾患の既往やヨード過剰摂取の指摘はなく、卵管造影検査(HSG)と同周期の排卵で妊娠が成立した。妊婦健診で羊水過多を指摘され、29週に精査目的で当院紹介となった。母体は、29週時に甲状腺機能の軽度低下を認めたが、TPO抗体やサイログロブリンは陰性で、35週時の再検では正常範囲となった。一方、胎児は、前頸部に腫大した甲状腺を初診時の超音波検査で認め、3D超音波画検査でも腫瘤による胎児頸部の過伸展像がみられた。超音波ならびにMRI検査による経過観察で胎児甲状腺腫は徐々に自然縮小し、尿中総ヨウ素濃度も漸減したため、胎児甲状腺腫の原因は油性造影剤を用いたHSGのヨード被爆が原因であると診断された。 その後、妊娠38週に児頭骨盤不均衡により選択的帝王切開術が施行され、3,010 gの男児がApgar Score 8/9点で出生した。児に甲状腺腫大や甲状腺機能異常は認めなかった。 |
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胎児甲状腺腫は、母体の甲状腺疾患が原因となる場合が多いが、母体のヨード含有食品の過剰摂取や油性造影剤による胎児期のヨード被爆においても先天性甲状腺機能低下を来すことが報告されている。本文献では、HSG後の妊娠で胎児甲状腺腫を来した症例を報告している。油性造影剤によるヨード被曝が胎児甲状腺腫の原因と考えられた稀な一例である。
- 著者(発表者)
- 佐々木由梨ほか
- 所属施設名
- 岩手医科大産婦人科
- 表題(演題)
- 油性造影剤による卵管造影検査後の妊娠で胎児甲状腺腫を来した1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本生殖医学会雑誌 62(3) 149 (2017.7)
第54回 東北生殖医学会総会・学術講演会 (2016.10.15)
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