シベンゾリンコハク酸塩による筋無力症
2017年12月掲載
薬剤 | シベンゾリンコハク酸塩循環器官用剤 |
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副作用 | 筋無力症 |
概要 | 68歳、女性。2007年より発作性心房細動のためピルシカイニドが投与されていたが、洞調律コントロール不良のため、2010年よりシベンゾリンコハク酸塩に変更された。2016年1月、呼吸困難、全身脱力感を訴え、当院へ救急搬送された。来院時、経皮的酸素飽和度軽度低下、座位保持不可、眼臉下垂を認めた。心エコー、頭部および胸部CT、血液生化学検査では明らかな異常を認めなかったが、心電図上PQ延長及びQRS延長を認め、シベンゾリン中毒が疑われた。シベンゾリンを投与中止としたところ、翌日には症状は劇的に改善した。入院時の血中シベンゾリン濃度は2341ng/mLと高値でシベンゾリン中毒による筋無力症と診断した。 |
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シベンゾリン(シベノール®)は発作性心房細動などの頻脈性不整脈の治療薬として広く使用されている。副作用として、催不整脈作用、心抑制、低血糖、肝機能障害などに加え本症例でも認められた筋無力症が報告されている。これらの副作用は血中濃度の上昇に伴い発生するとされ、腎機能障害を認める場合にはそのリスクが高くなる。本症例では腎機能が正常であるにもかかわらず、通常量のシベンゾリンの内服によって筋無力症を発症した稀な一例である。シベンゾリンの内服中に呼吸困難や脱力感などを認めた場合には、副作用として筋無力症を考慮し、適切な対応を行う必要がある。
- 著者(発表者)
- 丸山高ほか
- 所属施設名
- 総合高津中央病院循環器内科
- 表題(演題)
- 正常腎機能患者に発症したシベンゾリン中毒による筋無力症
- 雑誌名(学会名)
- 心臓 49(7) 672-677 (2017.7)
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