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肺炎球菌ワクチンによる蜂窩織炎様反応

2017年9月掲載

薬剤 肺炎球菌ワクチン生物学的製剤
副作用 蜂窩織炎様反応
概要 64歳、男性。既往歴に腸管ベーチェット病がある。初診の3日前に左上腕に肺炎球菌ワクチンを接種した。その翌日から同部位に有痛性の発赤、腫脹が生じ、37℃台の発熱も認めた。血液検査では白血球27,700/μL、好中球97%、CRP 38.64 mg/dLと著名な好中球増多と高度な炎症反応の上昇を認め、CK 3.356 U/L、CK-MB 38 U/Lと多量の筋酵素の逸脱、クレアチニン4.86 mg/dLと急激な腎機能増悪を伴い、ミオグロビン尿も検出された。
壊死性筋膜炎も否定できず、メロペネム0.5 g/日とクリンダマイシン1.8 g/日を開始、4日間の投与で発熱、局所発赤、腫脹は改善、白血球5,200/μL、好中球61%、CRP 5.26 mg/dL、CK 108 U/L、クレアチニン1.69 mg/dLと速やかに軽快した。7日間で投与は終了し、以後、再燃は認めていない。
臨床経過や単純CTで炎症が脂肪織のみで筋膜に及ばなかったことから、肺炎球菌ワクチン接種による蜂窩織炎様反応と診断した。

監修者コメント

本症例では、肺炎球菌ワクチン接種後、局所の発赤や腫脹は軽度であったが、全身性の炎症反応やCKの上昇が認められたため、蜂窩織炎ではなく、蜂窩織炎様反応と診断されている。肺炎球菌ワクチンの添付文書にも重大な副作用として、蜂窩織炎様反応が記載されている。本副作用は、本症例のようなベーチェット病患者に比較的高頻度に認められることが報告されており、ベーチェット病患者に肺炎球菌ワクチンを接種する際には十分な注意が必要である。

著者(発表者)
川﨑ゆりかほか
所属施設名
帝京大学医学部皮膚科学教室
表題(演題)
肺炎球菌ワクチン接種による蜂窩織炎様反応
雑誌名(学会名)
皮膚病診療 39(5) 471-474+527 (2017.5)
第836回 日本皮膚科学会東京支部学術大会

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