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バラペンによる接触皮膚炎

2017年9月掲載

薬剤 バラペンその他
スルファジアジン銀外皮用薬
ヘパリン類似物質血液・体液用薬
副作用 接触皮膚炎
概要 27歳、女性。オコゼ刺傷による下腿皮膚潰瘍に対してゲーベン®クリームを外用していたが改善せず、当科を受診した。潰瘍周囲に紅斑、丘疹が広がり、ゲーベン®クリームによるアレルギー性接触皮膚炎と自家感作性皮膚炎の誘発と考え、外用を中止したところ潰瘍部の肉芽形成が良好となり、植皮術を行った。術後、顔や植皮部にヒルドイド®ソフト軟膏を外用し、掻痒が出現していたが、乾燥によるものと自己判断し、不定期に外用を継続していた。約1年後に全身に紅斑が拡大し、再度当科を受診した。パッチテストではゲーベン®クリーム、ヒルドイド®ソフト軟膏、これらに共通した添加物であるバラペンが陽性であった。臨床結果とパッチテスト結果よりパラベンによるアレルギー性接触皮膚炎症候群と診断した。

監修者コメント

パラベンはパラオキシ安息香酸エステルの通称であり、比較的安全な防腐剤として化粧品や医薬品、食品に広く使用されている。本症例は初回入院時にゲーベン®クリームによる接触皮膚炎と診断されたが、原因成分を特定しなかったため、その後のヒルドイド®ソフト軟膏の外用により接触皮膚炎が再燃した。これらの外用剤に共通した添加物がパラベンであり、最終的に原因成分としてパラベンが特定された。外用薬による接触皮膚炎では、有効成分のみならず、バラペンを含めた添加物も原因成分として考慮すべきである。

著者(発表者)
深井恭子ほか
所属施設名
琉球大学大学院医学研究科皮膚病態制御学講座
表題(演題)
下腿潰瘍に合併したパラベンによる接触皮膚炎の1例
雑誌名(学会名)
臨床皮膚科 71(6) 393-396 (2017.5)

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