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無水エタノールを用いた経皮経肝門脈塞栓術による血小板減少

2017年8月掲載

薬剤 無水エタノール腫瘍用薬
副作用 血小板減少
概要 60歳代、男性。肝右葉の多発肝細胞癌に対して肝右葉切除術が予定され、手術に先立って経皮経肝門脈塞栓術(PTPE)が施行された。超音波ガイド下にて門脈と後区域枝を無水エタノールで塞栓し、穿刺血管はAMPLATZER Vascular Plugで塞栓した。翌日の血液検査にて肝逸脱酵素の上昇と血小板減少を認め、再検査でも血小板は0.4万/μlと低値であったため、血小板輸血が施行された。肝逸脱酵素と血小板減少は数日の経過で改善傾向となり、PTPE後8日目には退院、約1ヵ月後に予定通り肝右葉切除術が施行された。

監修者コメント

無水エタノールは、肝細胞癌に対する経皮的エタノール局注療法や肝切除術前のPTPEなどに使用されている。本症例における著明な血小板減少は無水エタノールを用いたPTPEが原因と考えられた。稀ではあるが、無水エタノールを用いたPTPEにより著明な血小板減少をきたすことがあり、術後は血液検査を含めた慎重な経過観察が必要である。

著者(発表者)
田中賢一ほか
所属施設名
香川大学医学部放射線医学講座
表題(演題)
無水エタノールを用いた経皮経肝門脈塞栓術後に著明な血小板減少を来した1例
雑誌名(学会名)
日本インターベンショナルラジオロジー学会雑誌 32(S) 373 (2017.4)
第46回 日本IVR学会総会(2017.5.18-20)

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