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アジスロマイシンによる薬剤性無顆粒球症

2017年8月掲載

薬剤 アジスロマイシン抗生物質製剤
副作用 薬剤性無顆粒球症
概要 6歳10ヵ月、男児。発熱と咳症状が遷延していたことから非定型感染症を疑われ、前医よりアジスロマイシン(AZM)投与が開始された。一旦解熱したが再度発熱し、治療開始4日後に近医で行われた血液検査で白血球数1200/μl、好中球132/μlと無顆粒球症を認めた。発熱を認めた以外、全身状態は比較的良好であったが、重症感染症予防目的に広域抗生剤を投与した。血液疾患鑑別を目的に骨髄検査を行ったが血液疾患は否定的で、好中球は自然回復し軽快退院した。

監修者コメント

AZM(ジスロマック®)は小児科の日常診療において広く使用される抗生剤である。無顆粒球症は末梢血中の好中球が500/μl以下まで著減する疾患であり、続発する感染症により重症化することがある。なかでも化学療法以外の薬剤による無顆粒球症は薬剤性無顆粒球症Idiosyncratic drug-induced agranulocytosis (IDIAG)と呼ばれ、原因薬剤を直ちに中止する必要がある。AZMの副作用として好中球減少が知られているが、本症例のように無顆粒球症をきたす可能性もあるため、十分な注意が必要である。

著者(発表者)
田浦喜裕ほか
所属施設名
公立南丹病院小児科ほか
表題(演題)
アジスロマイシンによる薬剤性無顆粒球症が疑われた一例
雑誌名(学会名)
日本小児救急医学会雑誌 16(1) 59-62 (2017.2)
第30回 日本小児救急医学会学術集会

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