ピロリ菌3次除菌による劇症型クロストリジウム・ディフィシル感染症
2017年7月掲載
薬剤 | PPIその他 アモキシシリン抗生物質製剤 シタフロキサシン化学療法剤 |
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副作用 | 劇症型クロストリジウム・ディフィシル感染症 |
概要 | 77歳、男性。他院で1週間、ピロリ菌3次除菌(プロトンポンプ阻害薬+アモキシシリン+シタフロキサシン)の内服治療を実施した。内服終了後から下痢症状が出現、整腸剤の処方を受けるも、第6病日の再診時、炎症反応高値が認められ入院。症状の改善がなく第8病日に当科に転院となった。 白血球数70,600、CRP14.63、CTでは全結腸が浮腫状であるものの造影効果は保たれており、迅速CDトキシンは陽性で、劇症型クロストリジウム・ディフィシル感染症と診断された。入院後、全身状態は急激に悪化、経口気管挿管、大量輸液、カテコラミンでバイタルを保ったものの、同日深夜に一時的に心停止となった。蘇生後に緊急開腹を行ったところ、S状結腸の虚血を認め切除したものの、バイタルの維持は困難であり、第9病日の夕方、死亡となった。 |
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ピロリ菌感染症は萎縮性胃炎や消化性潰瘍の原因となり、胃がんのリスク因子にもなるため、積極的な除菌治療が推奨されている。本文献では、ピロリ菌3次除菌治療を契機に劇症型クロストリジウム・ディフィシル感染症を発症し、死に至った症例を報告している。ピロリ菌3次除菌は、通常プロトンポンプ阻害薬とアモキシシリンにシタフロキサシンなどのニューキノロン系抗菌薬を加えたレジメンが用いられる。本邦では除菌治療に伴う偽膜性腸炎やクロストリジウム・ディフィシル感染症の発生は少なく、これまでに死亡例の報告もなかった。本症例は特に高齢者に対する安易な除菌治療に対して警鐘を鳴らす一例と言える。
- 著者(発表者)
- 萩原純ほか
- 所属施設名
- 日本医科大学付属病院高度救命救急センターほか
- 表題(演題)
- ピロリ菌3次除菌を契機に劇症型クロストリジウム・ディフィシル感染症を発症した一例
- 雑誌名(学会名)
- 第44回 日本集中治療医学会学術集会 抄録集(Web) DP95-1 (2017)
第44回 日本集中治療医学会学術集会 (2017.3.9-11)
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